「資格の勉強に Anki を使いたいけれど、どう使えば効率的なんだろう」という方へ。Anki(アンキ)は、忘れかけた頃をねらって復習させてくれる単語帳アプリです。資格勉強で使うときのいちばんのコツは、Anki を暗記の主戦力に据えて、「何を単語帳のカードにするか」を絞ることです。
計算や長い演習そのものは過去問にまかせ、参考書の要点と、演習で間違えたところをカードにします。過去問が机に向かう時間なのに対して、Anki は通勤や休み時間の隙間でも進むので、勉強時間の総量が増えます。範囲が広い資格は復習が溜まりやすいですが、そこは受験日から逆算した余裕のあるスケジュールと、単元ごとの絞り込みで乗り切ります。
資格勉強で Anki はどこに置く? 暗記の主戦力にする
先に結論を言うと、私の場合は Anki を「暗記のメイン」に置き、過去問や演習問題は別枠にしていました。役割を分けるということです。
私が Anki を使ったのは、統計検定2級・準1級、TOEIC、それに社内検定の勉強です。やり方はどれも同じで、参考書を読みながら、覚えておきたい重要な知識をそのつどカードにしていきました。これを続けると、参考書の内容のほとんどがカードの形でそろっていきます。演習問題を解いていて間違えたところも、その場でカードにして覚え直しました。
イメージとしては、Anki が毎日の素振りで、過去問・演習が試合です。素振りだけでも試合だけでも受からないので、両方を回します。だから資格勉強では、参考書やまとめ役の教材を「読んで終わり」にせず、要点をカードに移して隙間時間で何度も思い出す。これを土台にしていました。
何をカードにする? 計算が多い資格でも「意外と暗記ゲー」
次に迷うのが、「何をカードにして、何はカードにしないか」です。ここを絞れるかどうかで、Anki が効くか、ただ枚数が増えて苦しくなるかが分かれます。
私の線引きは、以下の通りです。
- カードに向くもの: 用語の意味、公式とその使いどころ、頻出の手順、英単語・熟語
- カードに向かないもの: 長い計算そのものの演習、その場で考えて組み立てる応用問題
統計検定のように計算が多い資格だと、「暗記アプリなんて出番が少ないのでは」と思うかもしれません。ところが実際にやってみると、計算が多い資格でも意外と暗記ゲーな部分があります。どの公式を、どの場面で、どういう手順で使うか——ここは暗記が効きます。
計算そのものの練習は、過去問演習で手を動かして解くほうが向いています(計算過程まで含めてカードにしたいなら、少なくとも計算用のデッキは分けたほうがいいです)。一方で「どの公式をどの場面で使うか」をカードにしておくと、演習のときに手が止まりにくくなりました。
もう一つ、資格勉強でおすすめしたいのは、覚えたいことや間違えたことは、まとめノートや復習ノートを作るより先にカードにする、という順番です。ノートを作ること自体に時間がかかって、肝心の復習まで手が回らなかった、というのは私自身が何度もやった失敗でした(このあたりは間違いノートの作り方や復習ノートの作り方で詳しく書いています)。ノートにまとめたくなったら、まずカードにして覚えてしまう。それでも整理が必要なら、あとからノートにする。この順番のほうが、記憶に残りやすかったです。
隙間時間で勉強量が増える——これが Anki の一番の実利
資格勉強で Anki を暗記の主戦力に据える、いちばん大きな理由がこれです。
過去問や演習問題は、まとまった時間を確保して、机に向かって取り組む必要があります。社会人だと、この「まとまった時間」を平日に作るのが、そもそも難しいですよね。
その点、カードでの暗記は隙間時間でできます。通勤電車のなか、昼休みの数分、レジや病院での待ち時間——これまで勉強に使えていなかった時間が、そのまま暗記の時間に変わります。私の場合は、思っていた以上に勉強時間を確保できました。
まとまった時間は過去問にあて、細切れの時間はカードにあてる。こう分担すると、1日のトータルの勉強量が自然と増えていきます。時間が足りない社会人ほど、この効き方は大きいはずです。
範囲が広い資格で復習が溜まったら(正直、まだ模索中です)
ここは正直に書きます。範囲が広い資格だと、復習するカードがどんどん溜まって、1日にこなす枚数が膨らみます。私も統計検定2級のときに、1日に100枚を超える復習が溜まって、こなしきれなくなった経験があります(溜まって続かなくなった話はAnkiが続かない理由と対策にまとめました)。
これへの完全な答えは、私もまだ模索中です。そのうえで、いま効いていると感じるのは次の3つです。
まず大前提として、受験日とゴールをはっきり決めて、前もって余裕のあるスケジュールを組むことです。余裕があれば、そもそも復習が爆発しにくくなります。仮に溜まっても、「まだ時間はある」と思えるので、1日のノルマを急いで片付けることより、一枚ずつしっかり理解して覚えることに集中できます。焦って速く解くだけの復習は、記憶に残りません。
それでも時間の確保が難しいときは(社会人にはよくあることです)、優先度の高いカードを選んで解きます。全部を平等にやろうとしないことです。
もう一つは、デッキを単元や分野ごとに細かく分けておくことです。そうすると、苦手な単元だけを集中して復習できます。得意なところに時間を取られずに済むので、限られた時間の使いどころを自分で決められます。
成績データから優先度の高いカードを自動で選んだり、いまどこが弱いかを教えてコーチングしたりする仕組みがあれば、と何度も思いました(これは私がいま開発しているえびデッキで実現したい構想で、いまある機能ではありません)。だから今の Anki では、まずは上の3つ——余裕のあるスケジュール、優先度での選別、単元ごとの分割——を手で回していくのが現実的です。
AI でカード作成の負担を減らす(ただし丸投げは禁物)
資格勉強で Anki を使うとき、多くの人がつまずくのが「カードを作るのが面倒」という壁です。ここは、いまなら AI でかなり軽くできます。
たとえばチャットAI(ChatGPT など)に参考書のページや教材の PDF を渡して、「表を問い、裏を答えにした問題を作って」と頼むと、カードの下書きが数分で出てきます。演習で間違えたところを、その場で問題の形にしてもらうこともできます。私の場合は、資格勉強のカード作りが1日がかりだったのが、体感で30分ほどに縮みました。
ただし、丸投げでうまくいくかというと、そうはなりません。昨今の AI はとても賢くなったとはいえ、いくつか気をつけることがあります。
- 自分の教材を渡さないと、一般論のカードになりがちです。手元の参考書や試験の説明とは少しずれた説明が出てくることがあるので、教材そのものを読ませて接地させます。
- 何でもカードにしないことです。さきほどの線引きと同じで、計算そのものの演習など、カードに向かない問題まで作らせると、かえって使いにくくなります。
このあたりの具体的な手順は、暗記カードをAIで自動生成するコツや、ChatGPTで暗記カードを作る手順にまとめています。
もっと踏み込んで、AI に単語帳づくりをまるごと任せる自動化まで試したい方は、Claude Codeで単語帳を自律生成する方法もあわせてどうぞ(こちらは少し技術寄りの内容です)。
よくある質問
公開されている既成のデッキを使うのと、自作はどちらがいいですか?
どちらも使えます。TOEIC のように受験者が多い資格は、公開デッキも多く出回っています。まずはそれを使ってみて、足りないところを自作で補う、という併用がおすすめです。
ただし、公開デッキは誰が作ったのか、問題の内容が正しいか、情報が古くないかを自分で見極める必要があります。私の場合は、熟語やコロケーション(語と語の自然な組み合わせ)のようなピンポイントの教材は少ないと感じたので、そこは自作で補っていました。デッキ作りのコツはAnkiデッキの作り方にまとめています。
Anki だけで資格に受かりますか?
Anki は暗記の主戦力として強いですが、これ一つで完結させるより、過去問・演習や参考書と併用するのが現実的です。暗記はカードで、思考力を試す問題は演習で、と役割を分けると、それぞれが噛み合います。予備校や他の教材と組み合わせても、もちろん構いません。
計算問題もカードにすべきですか?
計算そのものの演習は、過去問で手を動かして解くほうが向いています。一方で、どの公式をどの場面で使うか、その手順は暗記が効くので、そこはカードにする価値があります。計算過程までカードに入れたい場合は、通常のカードとはデッキを分けておくと管理しやすいです。
まとめ
資格勉強で Anki を使うときの要点を、もう一度整理します。
- Anki は暗記の主戦力に置き、過去問・演習とは役割を分ける(併用する)
- 何をカードにするかを絞る。計算が多い資格でも、公式・手順・用語は暗記が効く
- 覚えたいこと・間違えたことは、ノートを作るより先にカードにする
- 隙間時間で回して勉強量の総量を増やす
- 範囲が広い資格で復習が溜まったら、余裕のあるスケジュールと、単元ごとの絞り込みで乗り切る
AI をどう使うと記憶に残るのか、その全体像はAIで暗記する方法にまとめています。あわせて読むと、Anki を資格勉強のどこに置くかが見えやすくなるはずです。