「暗記カード(単語帳)を1枚ずつ手で作るの、正直しんどい…」という方へ。いまは AIに下書きを作らせれば、カード作りはかなり速くできます。私も、1日がかりだった作業が30分ほどで終わるようになりました。
やり方は大きく3つです。ChatGPTなどに教材を渡して「表=問い・裏=答え」で書かせる/お題やPDFから作る専用ツールを使う/手元の単語リストをまとめて取り込む。
ただ、いちばん大事なことを先に言います。「自動で作れた」は「覚えた」ではありません。丸投げすると的外れなカードが混じるので中身は自分で確認し、作った後は時間を空けて復習してこそ身につきます。まず作り方から、次に「質を保つコツ」と「作った後」までまとめます。
暗記カードは今、AIで自動生成できる(まず全体像)
暗記カード(フラッシュカード)は、表に問題、裏に答えを書いたカードのことです。紙の単語帳と同じ形ですね。
この「表=問い、裏=答え」の形を、AIに元ネタ(教材や単語リスト、PDFなど)を渡して自動で作ってもらうのが、暗記カードの自動生成です。こうしてAIに作ってもらう暗記カードは、「AI暗記カード」と呼ばれることもあります。
イメージは、清書だけ自分でやって、下書きはAIに任せる感じです。ゼロから全部手で書くより、ぐっと速くなります。
やり方は、大きく3つに分けられます。
| やり方 | 向いている場面 |
|---|---|
| ①AIに文章で頼む(ChatGPTなど) | 手元の教材から、自分好みの形で作りたい |
| ②専用ツールに任せる | とにかく手早く、少ない手間で作りたい |
| ③手元のリストを取り込む | すでに単語リストがある |
このあと、それぞれのやり方を順番に見ていきます。そして最後に、この記事でいちばん伝えたい「作った後」の話をします。ここが、覚えられるかどうかの分かれ目です。
方法1:ChatGPTなどのAIにカードを作らせる
いちばん自由がきくのが、ChatGPTのようなAIに文章で頼むやり方です。手順は3つだけです。
- 教材や範囲をAIに渡す(覚えたい文章を貼る、PDFを読ませる)
- 「表=問い、裏=答え」の形で出してとお願いする
- 表の形やファイルで受け取る(そのまま使う/Ankiなどに取り込む)
コツは「自分の教材を渡す」
ここが、意外と見落とされがちな大事なコツです。
AIに何も渡さず「◯◯のカードを作って」とだけ頼むと、AIは自分がもともと持っている知識でカードを作ります。すると、手元の参考書や試験の説明とは少しズレた、一般的な内容になりやすいのです。これは私自身、何度も感じた失敗でした。
そこで、自分が使っている教科書のページやPDFを渡して「この内容から作って」とお願いします。こうすると、自分の教材に沿ったカードになり、試験対策としても役に立ちます。
コピーして使えるプロンプト例
そのまま使える「お願いの文章(プロンプト)」の例を置いておきます。難しく考えず、まるごとコピーして使って大丈夫です。あとは自分の教材に合わせて、言葉を足したり削ったりしてください。なお、下の「タブで区切る」は、Excelの列のように問いと答えが分かれる形のことです。
次の文章から暗記カードを作ってください。
・1行につき1枚。「問い」と「答え」をタブで区切ってください。
・答えは50字以内で、簡潔にお願いします。
・専門用語には、短い補足を1文だけ付けてください。
・計算そのものを解かせる問題は作らないでください(暗記できる要点だけカードにする)。
--- ここに教材の文章を貼る ---
最後の「計算そのものを解かせる問題は作らない」という一文には理由があります。これはあとの章でくわしく説明します。
Ankiに取り込むならCSV形式で
作ったカードをAnki(アンキ・暗記アプリ)などにまとめて入れたいときは、CSVという形式で出してとお願いすると楽です。CSVは、表計算ソフトを経由してそのまま取り込める、いわば引っ越し用の箱のような形式です。このとき文字コードは「UTF-8」を選びます。UTF-8は、日本語が文字化けしないための保存の設定だと思ってください。
取り込みの具体的な手順は、Ankiデッキの作り方にまとめています。あわせて読んでみてください。
ChatGPTでの手順を、プロンプト例や質を保つコツまでくわしく知りたい方は、ChatGPTで暗記カードを作る手順と質を保つコツにまとめています。
方法2:お題やPDFから作る専用ツール
「プロンプトを考えるのも面倒」という人には、お題やPDFを渡すだけで自動生成してくれる専用ツールもあります。
たとえば「AIでかんたん暗記カード生成」(learningBOX)は、お題(キーワード)の入力か、PDFの読み込みで、暗記カードを自動生成してくれます。登録不要・無料で、最大20枚まで作れます(2025年末の公開時点)。無料の条件や使える機能は変わることがあるので、最新は各公式サイトで確認してください。
こうしたツールは手軽で速いのが魅力です。一方で、「この単元だけに絞る」「出題の形を変える」といった細かい調整は効きにくいこともあります。
既製品とオーダーメイドの違いに近いです。まず専用ツールで試してみて、物足りなければ方法1(AIに文章で頼む)に切り替える、という使い分けでよいと思います。もちろん、専用ツールで大量に作って、仕上げだけ自分でやる、という組み合わせもできます。
方法3:すでにある単語リストを取り込む
すでに単語や用語のリストが手元にあるなら、AIに一から作らせなくても、そのまま暗記カードにできます。
たとえば、参考書の巻末にある用語リストや、自分でこれまで作ってきた一覧表です。こうしたものを表計算ソフトで「問い」と「答え」の2列に整えれば、Ankiなどにまとめて取り込めます。1件ずつ入力し直す必要はありません。
「AIに考えさせる」のではなく「持っているものを移すだけ」なので、3つのなかではいちばん手早い方法です。手順は、方法1と同じくAnkiデッキの作り方にまとめています。
なお、この3つはどれも、AIに作らせたカードを自分で受け取って取り込む手作業が残ります。その受け渡しまで任せたい方には、AIエージェント(Claude Code)から手元のAnkiを直接操作して、カードの作成と取り込みをひとつづきでやらせる方法もあります。やり方はClaude Codeで単語帳を自律生成する方法で紹介しています。コマンドやツールの基本が分かる人向けの内容なので、まずはここまでの3つから試してみてください。
「自動で作れた」だけでは、まだ覚えていない
ここからが、この記事でいちばん伝えたいところです。
AIを使うと、カード作りはたしかに速くなります。でも、速くなるのは「作る」部分だけでした。
私は別の試験の勉強で、AIに間違いノートをきれいに作らせたことがあります。でき上がりは立派でしたが、結局ほとんど見返しませんでした。どうしても過去問や演習のほうに気が向いてしまい、ノートを開く気になれなかったのです。残ったのは「作れた」という満足感だけでした。
丸投げの落とし穴:何を作らせ、何は作らせないか
もうひとつ、AIに全部おまかせにすると起きることがあります。質のばらつきです。私が特につまずいたのは、次の2つでした。
- 計算がたくさん必要な問題まで、カードにされてしまう:暗記カードは、パッと思い出す練習の道具です。何ステップも計算する問題は、そもそも単語帳に向きません。カードにするなら「どんな計算をするか」「使う公式は何か」といった暗記できる要点だけに絞ります。計算の演習そのものは、過去問でやると割り切るのがコツです。
- 図や画像を含むカードは苦手:図解を作らせたり、うまく引用させたりするのは、まだ難しい場面が多いです。文字と表で表せる範囲を中心にすると安定します。
作った後こそ本番:間隔を空けて、弱点に絞る
では、作ったカードで覚えるには、どうすればいいのでしょうか。ポイントは2つです。
1つ目は、時間を空けて復習することです。一気に詰め込むより、間隔を空けて解き直したほうが忘れにくくなります。これは感覚だけの話ではなく、たくさんの記憶研究をまとめた分析でも繰り返し確認されています(出典: Cepedaら 2006)。「今日・3日後・1週間後」と空けて解き直すイメージです。
2つ目は、弱点に絞ることです。全部を同じように復習すると、時間が足りません。間違えたところに寄せて復習する考え方は、間違いノートの作り方にまとめています。
なお、AIで作るのが速くなっても、「復習が溜まって終わらない」という悩みは別に残ります。ここで手が止まりやすい人は、Ankiに挫折する理由と続けるコツもあわせてどうぞ。
私自身、この「作る手間は減らせても、続かない」というギャップを埋めたくて、学習アプリ(えびデッキ)を作っています(間違えたところからAIがカードを作り直す仕組みなどは、いま開発中です)。いま使っているAIツールやAnki、過去問と組み合わせて、合うところだけ取り入れれば十分です。
よくある質問
AIで作った暗記カードは、そのまま信用していい?
中身は、自分で確認してから使うのがおすすめです。
AIの下書きは速くて便利ですが、的外れな内容や、事実とは少し違うことが混じる場合があります。誰かが作った共有カードと同じで、「何を根拠に作られたか」は自分で確かめる必要があります。特に、自分の教材を渡さずに作らせたカードは、一般論に寄りやすいので注意してください。
ChatGPTで作ったカードをAnkiに取り込むには?
表計算ソフトで整えて、CSVという形式(文字コードはUTF-8)で保存すれば取り込めます。どの列を問い・答えに対応させるかも選べます。
くわしい手順はAnkiデッキの作り方にまとめています。文字コードをUTF-8にしないと日本語が文字化けすることがあるので、そこだけ注意してください。
無料で暗記カードを自動生成できるツールはある?
あります。お題やPDFから作れる、登録不要・無料のWebツールも登場しています(本文で触れた「AIでかんたん暗記カード生成」など。2025年末の公開時点)。
ただし、無料の条件や使える機能は変わることがあるので、最新は各公式サイトで確認してください。どのツールが一番かは、覚えたい内容や使い勝手によって変わります。まず試してみて、自分に合うものを選ぶのがよいと思います。
画像やPDFからも暗記カードを作れる?
一部のツールや、いまのAIはPDFや画像の読み取りに対応しています。手元の資料を渡してカード化することも、実用的になってきました。
ただし、でき上がりの質は元の資料しだいです。字が読み取りにくい資料や、図が中心の資料だと、うまくいかないこともあります。まず一部を試して、問題なさそうなら範囲を広げる、という進め方が安全です。
まとめ
暗記カードのAI自動生成は、次のポイントを押さえれば十分です。
- 作り方は3つ:AIに文章で頼む/専用ツールに任せる/手元のリストを取り込む
- 自分の教材を渡す:何も渡さないと、一般論のカードになりやすい
- 何でもカードにしない:計算問題など、単語帳に向かない中身は作らせない
- 中身は自分で確認する:AIの下書きは速いが、そのままは危険
- 作った後こそ本番:間隔を空けて復習し、間違えたところに絞る
いちばん大事なのは、「作れた」で終わらせないことです。AIで下ごしらえは終わっても、食べる(復習する)のはこれからです。
作ったカードを「見返す」「解き直す」につなげる考え方は、間違いノートの作り方とAnkiデッキの作り方にまとめています。まずは今日の教材を1ページ、AIに渡してカードにするところから始めてみてください。
カードをAIに作らせるこのやり方を含めて、AIをどう使うと記憶に残るのかという全体像はAIで暗記する方法にまとめています。