Ankiを入れてみたけど、自分のデッキはどう作るのが正解なんだろう?」と迷っていませんか。

作り方はシンプルです。「デッキを作る」→「ノートタイプ(カードのひな形)を選ぶ」→「カードを追加する」の3ステップで終わります。

ただ、実際にやってみて効いたのは、手順そのものよりも「作り続けるための工夫」のほうでした。共有デッキで済ませられないかを先に確かめる、体裁に凝らない、手入力がつらい部分はAIに下書きさせる。統計検定2級やTOEIC、社内検定の勉強でAnkiを使ってきた実体験を交えて、その中身をまとめます。

デッキ・カード・ノートは何が違う?(最初に用語を整理)

Anki(アンキ)は、自分で問題と答えを登録して覚える暗記アプリです。触りはじめて最初に戸惑うのが、似た言葉が3つ並ぶことです。ここだけ先に整理しておくと、あとがぐっと楽になります。

  • カード:問題と答えのペアです。紙の単語帳と同じで、表に問題、裏に答えがあります。
  • デッキ:カードをまとめたグループです。科目ごとの単語帳1冊、というイメージが近いです。
  • ノート:あなたが入力する情報のかたまりです。入力欄の1つ1つ(「表面」「裏面」など)をフィールドと呼びます。

つまずきやすいのは、ノートとカードの関係です。

たとえば「apple = りんご」と1回入力したとします。設定しだいで、ここから〈apple →?〉と〈りんご →?〉の2枚のカードができます。入力は1回でも、出題は2枚。これがノートとカードの違いです。

まず決める:共有デッキを使う? 自分で作る?

実は、いきなり自作しなくてもいい場合があります。

公式マニュアルも、Ankiを始めるいちばん簡単な方法として「誰かが共有したデッキをダウンロードすること」を挙げています。メジャーな試験や語学なら、すでに公開されているデッキが見つかることも多いです。

それでも自作したくなる3つの理由

私自身は、統計検定2級・TOEIC・社内検定の勉強でAnkiを使ってきました。そのなかで、公開されているデッキには次の不安を感じていました。

  1. 自分に合っているか分からない:範囲が広すぎたり、逆に足りなかったりする
  2. 作った人が信頼できるか分からない:どんな根拠で作られたのかが見えない
  3. 内容が古くなっていないか分からない:制度や出題範囲が変わっていることもある

なかでもはっきりしていたのが社内検定です。世の中に教材そのものが存在しないので、デッキもカードも全部自分で作るしかありませんでした。当時はまだAIも今ほど使えず、まさに全部手作業でした。

選び分けの目安

迷ったときは、次の基準で決めると早いです。

観点共有デッキ自作
向いている場面教材が世に出ている試験・語学教材が世に無い/弱点だけに絞りたい
始めるまでの速さ速い(ダウンロードするだけ)遅い(作る時間が要る)
自分への合い方合うとは限らない合わせられる
内容の正しさ作った人しだい自分で確かめられる

もちろん、共有デッキを土台にして、足りないところだけ自作カードを足す、という併用もできます。

Ankiデッキの作り方(基本の3ステップ)

方針が決まったら、あとは手を動かすだけです。ここでは「過去問で間違えた1問をカードにする」場面を例に進めます。

ステップ1:デッキを作る

メイン画面から「デッキを作成」を選び、名前を付けます。これだけです(ボタンの表記は、バージョンによって少し違うことがあります)。

どのくらいの細かさで分けるかは、「試験ごと」か「科目ごと」が目安です。細かく分けすぎると、どこに入れたか分からなくなります。まずは1つ作れば十分です。

ステップ2:ノートタイプを選ぶ(最初は「基本」でいい)

ノートタイプは、「どんな入力欄を持ち、何枚のカードを作るか」のひな形です。

標準の「基本」を選ぶと、表面と裏面の入力欄が出て、カードが1枚できます。「基本(裏表反転カード付き)」を選ぶと、同じ入力から2枚(表→裏と裏→表)ができます。さきほどの「apple = りんご」で2枚できるのは、これを選んだときです。

ほかに「穴埋め」(文の一部を隠して答えさせる形)などのひな形もあります。ただ、最初から使う必要はありません。

ステップ3:カードを追加する

「追加」から、ノートタイプと入れるデッキを選び、表面に問題、裏面に答えを入力します。

例えば過去問で間違えた1問なら、表に問題の要点、裏に正解と「なぜそうなるか」を一言。これで1枚できあがりです。

まとまった量を作るなら、キーボードのあるパソコンのほうが速く進みます。

作ったデッキが続く3つのコツ

デッキは作って終わりではありません。むしろ、ここからが本番です。私が失敗してきた経験から、続けるためのコツを3つ挙げます。

コツ1:1枚1問にする

1枚のカードに情報を詰め込むと、かえって思い出しにくくなります。

例えば「ある用語の意味・具体例・注意点」を1枚にまとめたとします。すると、どれか1つを思い出せないだけで不正解になり、何が身についていないのかが分からなくなります。3枚に分けたほうが、弱点がはっきりします。

コツ2:見た目を作り込みすぎない

これは私が何度も繰り返した失敗です。

ノート作り全般に言えることですが、「後でしっかり見返せるように」と丁寧に凝りはじめると、1枚あたりの時間が伸びます。すると、気合を入れないと作れないものになり、そのうち更新が止まります。

体裁を整えるより、雑でも枚数を回したほうが続きます。

コツ3:復習の間隔はAnkiに任せる

Ankiの中心にあるのが間隔反復という考え方です。間隔反復とは、時間を空けて何度も復習する方法のことです。

「今日・3日後・1週間後」と間隔を空けて解き直すイメージだと思ってください。

これは感覚だけの話ではありません。たくさんの記憶研究をまとめた分析でも、一気に詰め込むより間隔を空けたほうが忘れにくい、と繰り返し確認されています(出典: Cepeda ら 2006)。

Ankiは、この間隔を自動で計算してくれます。つまり、いつ復習するかを自分で悩む必要がありません。私がAnkiを使ってよかったと感じたのは、まさにこの点です。負荷をあまりかけずに勉強を続けられました。

手間を減らすには? AIに下書きを作らせる

ここまで読んで「作り方は分かったけど、やっぱり作るのが大変そう」と感じた方も多いと思います。正直に言うと、そのとおりです。

さきほど触れた社内検定のときは、教材が世に無いうえにAIも今ほど使えず、かなりの時間を「作る作業」に取られていました。

AIに下書きを出させて、自分で確認する

いまは、AIに下書きを作らせることができます。

教材や過去問の内容を渡して、「表=問い、裏=答え」の形でカードの下書きを出してもらう。やることはこれだけです。手で1枚ずつ打ち込んでいた頃と比べると、自分の仕事は出てきた下書きに目を通して直すところだけになり、そのぶんの時間を学習そのものに使えるようになりました。

AIへの具体的な頼み方(そのまま使えるプロンプト例)や、ChatGPT・専用ツール・取り込みといった作り方の選び分けは、暗記カードをAIで自動生成する方法にまとめています。

ただし、出てきた下書きは自分で確認してから入れることをおすすめします。さきほど共有デッキへの不安として「内容が正しいか分からない」を挙げましたが、AIの下書きにも同じことが言えるからです。

「作れた」だけでは、まだ定着しない

一方で、正直に書いておきたいことがあります。

別の試験の勉強のときは、AIに間違いノートをテキストファイルで作らせたことがありました。きれいにまとまったものができたのですが、結局ほとんど見返しませんでした。どうしても過去問や演習を解くほうに気が向いてしまい、ノートを開くモチベーションが湧かなかったのです。

つまり、AIで「作る」は速くなりましたが、それだけで記憶が定着するわけではありません。

同じことを「間違えた問題」でやるなら、間違いノートの作り方もあわせて読んでみてください。作って終わりにしないための考え方をまとめています。

私自身、この「作る手間は減らせても、続かない」というギャップが埋まらないと感じて、学習アプリ(Ebbi Deck)を作りはじめました。いま使えるのは、自分専用の問題集を作って、間隔を空けて復習するところまでです。

もちろん、Ankiと併用しても困りません。いま使っている過去問や参考書と組み合わせて、合うところだけ取り入れれば十分です。

よくある質問

共有デッキと自作、どっちがいいの?

まず共有デッキを探すのがおすすめです。

メジャーな試験や語学なら、すでに誰かが作ったデッキが公開されていることが多く、そのぶん始めるまでが速くなります。一方、教材が世に出ていない試験や、自分の弱点だけに絞りたい場合は自作が向いています。共有デッキを土台にして、足りないカードだけ自分で足す、という併用もできます。

カードは何枚くらい作ればいい?

枚数を目標にしないほうが、うまくいきます。

「1日20枚作る」と決めると、作ること自体が目的になりがちです。それよりも「1枚1問にする」「間違えたところから作る」の2つを守るほうが効きます。枚数が少なくても、弱点に当たっていれば役に立ちます。

スマホだけでデッキを作れる?

作れますが、まとまった量ならパソコンのほうが速いです。

キーボードで入力できるぶん、手が止まりません。なお、パソコン版とAndroid版(AnkiDroid)は無料で、iPhoneとiPadの公式アプリ(AnkiMobile)は有料です。提供状況や価格は変わることがあるので、最新の情報は公式サイトで確認してください。

エクセルで作った単語リストをまとめて取り込める?

取り込めます。

エクセルの表を「CSV」という形式で保存すれば、そのまま読み込めます。このとき、ファイルのどの列をノートのどのフィールドに入れるかも選べます。すでに単語リストが手元にあるなら、1枚ずつ入力するより速いです。

なお、保存するときは文字コードを「UTF-8」にしてください。エクセルの設定のままだと、日本語が文字化けすることがあります。

まとめ

Ankiデッキの作り方は、次のポイントを押さえれば十分です。

  • 手順は3ステップ:デッキを作る → ノートタイプを選ぶ → カードを追加する
  • まず共有デッキを探す:教材が世にある試験なら、自作しなくて済むこともある
  • ノートタイプは「基本」から:穴埋めなどは物足りなくなってから
  • 続けるコツは3つ:1枚1問にする/見た目を作り込みすぎない/復習の間隔はAnkiに任せる
  • 手間を減らすならAIに下書きを:ただし中身は自分で確認する

間違えた問題そのものの扱い方は、間違いノートの作り方でまとめています。

大切なのは、完璧なデッキを作ることではありません。雑でもいいので1枚作って、忘れる前に解き直すことです。まずは今日間違えた1問を、表と裏に一言ずつ入れてみるところから始めてみてください。

デッキを作って回すこのやり方を含めて、AIをどう使うと記憶に残るのかという全体像はAIで暗記する方法にまとめています。