「暗記カード(単語帳)を1枚ずつ手で作るの、正直しんどい…」という方へ。いまは ChatGPTにお願いすれば、カードの"下書き"は数分で作れます

ただ、先に大事なことを3つだけ言っておきます。①ChatGPTがAnki(暗記アプリ)に自動で入れてくれるわけではありません(下書きまで作って、取り込むのは自分です。カード作りをまるごと自動化する方法はClaude Codeで単語帳を自律生成する方法で紹介しています)。②自分の教材を渡さないと、一般論のカードになりがちです③何でもカードにしないほうがいいです(計算問題などは向きません)。

そして正直に言うと、ChatGPTが本当に得意なのは「カードを作る」ことより、「分からないところをその場で質問して潰す」ことです。この記事では、まず作る手順を示し、そのうえで「ChatGPTの上手な使いどころ」と「質を保つコツ」までまとめます。

ChatGPTで暗記カードを作る流れ(下書きを作って、自分で取り込む)

この記事では、作ったカードを Anki(アンキ) という暗記アプリに入れて使う前提で話を進めます。Ankiは無料で使えて、覚えたい頃合いを見計らって出題してくれる、定番の暗記アプリです。資格や語学の勉強で使っている人が多くいます。Anki自体の始め方やデッキの作り方は、Ankiデッキの作り方にまとめているので、はじめての方はそちらもどうぞ。

まず全体像から見ていきましょう。ChatGPTで暗記カードを作る流れは、大きく3ステップです。

ステップやること
①教材を渡す覚えたい文章を貼る、PDFや写真を読ませる
②形を指定して作らせる「表=問い、裏=答え」の形で出してもらう
③受け取って取り込む表計算ソフト用の形式で受け取り、自分でAnkiなどに入れる

イメージは、清書だけ自分でやって、下書きはAIに任せる感じです。ゼロから全部手で書くより、ぐっと速くなります。

ここで、よくある勘違いを先に解いておきます。

手順①:覚えたい教材をChatGPTに渡す

最初のステップは、覚えたい中身をChatGPTに渡すことです。渡し方は3つあります。

  • 文章を貼る:教科書やノートの文章を、そのままコピーして貼りつけます。
  • PDFを読ませる:資料のPDFをアップロードします。
  • 写真を渡す:教科書のページをスマホで撮って、その画像を渡します。

最近のChatGPTは、PDFや写真も読み取れるようになってきました。文章をコピーして貼るのが面倒なときは、画像で渡すのも手です。ただし、読み取りの精度は元の資料しだいです。字が小さかったり、図が中心だったりすると、うまくいかないこともあります。

自分の教材を渡すと「一般論」にならない

ここが、意外と見落とされがちな大事なコツです。

AIに何も渡さず「◯◯のカードを作って」とだけ頼むと、AIは自分がもともと持っている知識でカードを作ります。すると、手元の参考書や試験の説明とは少しズレた、一般的な内容になりやすいのです。

私の場合は、これを何度も感じました。別の資格の勉強でAIにカードを作らせたとき、教材を渡さずに頼むと、それらしいけれど自分の参考書とは微妙に食い違うカードが出てきたのです。そこで、自分が使っている教科書のページやPDFを渡して「この内容から作って」とお願いするようにしました。こうすると、自分の教材に沿ったカードになり、試験対策としても役に立ちます。

手順②:「表=問い・裏=答え」で出してもらう(コピペ用プロンプト)

教材を渡したら、次は形を指定して作らせます。ここで使う「お願いの文章(プロンプト)」の例を置いておきます。難しく考えず、まるごとコピーして使って大丈夫です。

次の教材から、Anki用の暗記カードを作ってください。
・出力はCSV形式、文字コードはUTF-8でお願いします。
・1行につき1枚。「問い」と「答え」を分けてください。
・1枚のカードには知識を1つだけにしてください(詰め込まない)。
・答えは50字以内で、簡潔に。
・専門用語には、短い補足を1文だけ付けてください。
・計算そのものを解かせる問題は作らないでください(暗記できる要点だけカードにする)。

--- ここに教材の文章を貼る ---

CSVやUTF-8という言葉は、手順③でくわしく説明します。いまは「Ankiに入れやすい形で出してもらう指定」とだけ思っておいてください。

最後の「計算そのものを解かせる問題は作らない」という一文には理由があります。これはあとの章でくわしく説明します。

用途別プロンプト例(そのまま覚える型/穴埋め型)

覚え方によって、カードの形を変えると使いやすくなります。よく使う2つの型を挙げておきます。

1つ目は、そのまま覚える型です。用語とその意味を、問いと答えでまるごと覚えたいときに向きます。上のプロンプトがこの型です。

2つ目は、穴埋め型です。文章の一部を隠して、そこを思い出す形です(虫食い問題のイメージ)。用語を文脈のなかで覚えたいときに向きます。この場合は、次のように頼みます。

次の文章から、Anki用の穴埋め問題のカードを作ってください。
・出力はCSV形式、文字コードはUTF-8でお願いします。
・覚えるべき語を [ ... ] で隠してください。
・1行につき1枚。「穴埋め文」と「隠した答え」を分けてください。
・1枚に入れる知識は1つに絞ってください(詰め込まない)。
・隠した答えの語が、同じカードの中に出ないようにしてください(答えが丸見えになるのを防ぐ)。

--- ここに教材の文章を貼る ---

穴埋めでは、ひとつ気をつけたいことがあります。隠した答えの語が、問題文のなかに残っていると、答えが見えてしまいます。たとえば「取り出した命令を記憶するレジスタを( )という」で、答えが「命令レジスタ」だとします。問題文に「レジスタ」が残っているので、答えの半分が丸見えです。「取り出した命令を記憶するものを( )という」と直すと、ヒントが消えてきれいな問題になります。

まずはそのまま覚える型から試して、文章で覚えたい範囲だけ穴埋め型に切り替える、という使い分けでよいと思います。

手順③:CSVで受け取り、自分でAnki・Quizletに取り込む

下書きができたら、最後は自分のアプリに取り込みます。

手順②のプロンプトで「CSV形式・UTF-8」を指定したので、出てくるのはAnkiに取り込みやすい形になっています。CSVは、表計算ソフトを経由してそのまま取り込める、いわば引っ越し用の箱のような形式です。UTF-8は、日本語が文字化けしないための保存の設定だと思ってください。

Ankiへ取り込む具体的な手順は、Ankiデッキの作り方にまとめています。どの列を問い・答えに対応させるかも、取り込みのときに選べます。Quizletを使う場合は、タブ区切りのまま貼りつければ取り込めます。

ここでも思い出してほしいのは、取り込むのは自分の作業だということです。ChatGPTは下書きを出すところまでなので、最後のひと手間だけは残ります。

ChatGPTは「作る」より「分からないを潰す」が得意(正直な使い分け)

ここまで作り方を書いてきましたが、正直なところをお伝えします。

私の場合は、ChatGPTやGeminiのようなチャットのAIは、カード作りのためにはあまり使っていません。使っているのは、分からないところをその場で質問したり、勉強の進め方を相談したりするときです。分かりやすかった説明や、あとで見返したい内容は、文章ファイルや画像で書き出してもらって、自分のクラウドに保存しておく、といった使い方をしています。

チャットのAIは、こうした「分かる材料」を作るのがとても得意です。一方で、カードを作るところから取り込むところまで丸ごと自動でこなすのは、コードを扱えるタイプのAI(AIエージェント。Claude CodeやCodex、Antigravityなど)の得意分野で、チャットのAI(ChatGPTやGemini)とは役割が違います。質問や相談はチャットのAIに、カードの量産や修正はエージェント型のAIに、と役割分担するのがおすすめです。エージェント型のAIを使った学習のやり方は、Claude Codeで暗記・学習を効率化する使い方で解説しています(少し上級者向けです)。

なので、ChatGPTでカードを作るなら、「一度きりの下書きを作ってもらう」と割り切るのがちょうどいい距離感です。定着の具合に合わせてカードを自動で作り直し続ける、といった仕組みまでは、チャットのAIには荷が重いところです(この「作った後も直し続ける」部分は、私自身が学習アプリのえびデッキで実現したくて、いま開発を進めています)。

ChatGPTに任せる部分・任せない部分(質を保つコツ)

AIに全部おまかせにすると、質にばらつきが出ます。何を任せて、何は自分でやるかの線引きが、質を保つコツです。

私が特につまずいたのは、次の2つでした。

  • 計算がたくさん必要な問題まで、カードにされてしまう:暗記カードは、パッと思い出す練習の道具です。何ステップも計算する問題は、そもそも単語帳に向きません。カードにするなら「どんな計算をするか」「使う公式は何か」といった暗記できる要点だけに絞ります。計算の演習そのものは、過去問でやると割り切るのがコツです(手順②で「計算そのものは作らせない」と指定したのは、これが理由です)。
  • 図や画像を含むカードは苦手:図解を作らせたり、うまく引用させたりするのは、まだ難しい場面が多いです。文字と表で表せる範囲を中心にすると安定します。

もうひとつ大事なのは、出てきた下書きを、自分で確認してから使うことです。AIの下書きは速くて便利ですが、的外れな内容や、事実とは少し違うことが混じる場合があります。私の場合は、出てきたカードにさっと目を通し、おかしいものを直してから取り込むようにしています。

1枚のカードに詰め込みすぎない(1カード=1知識)

覚える知識は、1枚のカードにつき1つに絞るのがおすすめです。手で作っていると、枚数を減らしたくて、つい1枚にあれもこれも詰め込みたくなります。でも、それはあまりうまくいきません。

Ankiのようなアプリは、「よく覚えているカードは間隔を空けて、苦手なカードは詰めて出す」と、カードごとに出す間隔を調整してくれます。ここが便利なところです。ところが1枚にいくつも知識を詰め込むと、その調整がカードのかたまり全体にかかってしまい、細かく効かなくなります。すでに覚えた部分まで、苦手な部分に引きずられて何度も出てくる、というわけです。

ChatGPTを使えば、カードを分けて作る手間はぐっと減ります。だからこそ、面倒がらずに「1カード=1知識」まで分解しておくと、あとの復習がよく効くようになります。

作ったカードで「覚える」には

最後に、いちばん大事なことを短く。「自動で作れた」は「覚えた」ではありません

私は別の試験の勉強で、AIに間違いノートをきれいに作らせたことがあります。でき上がりは立派でしたが、結局ほとんど見返しませんでした。どうしても過去問や演習のほうに気が向いてしまい、残ったのは「作れた」という満足感だけでした。

作ったカードで本当に覚えるには、時間を空けて復習し、間違えたところに絞るのが近道です。この「作った後」の話は、暗記カードをAIで自動生成する方法にくわしくまとめています。また、「作っても復習が溜まって終わらない」という悩みでつまずきやすい人は、Ankiに挫折する理由と続けるコツもあわせてどうぞ。

よくある質問

ChatGPTはAnkiに直接カードを追加できる?

基本的にはできません。ChatGPTは、カードの下書き(問いと答えの文章)を作るところまでで、Ankiへの取り込みは自分でやります。

理由は、ChatGPTがインターネットの向こう側で動いていて、あなたのパソコンの中のAnkiには手が届かないからです。カードの作成から取り込みまでを自動でこなす方法もありますが、それはプログラミング寄りのAIツールを使う話になります。ふだんチャットで使うChatGPTなら、「下書きを作る道具」と考えるのがちょうどいいです。

ChatGPTで作ったカードをAnkiに取り込むには?

表計算ソフトで整えて、CSVという形式(文字コードはUTF-8)で保存すれば取り込めます。どの列を問い・答えに対応させるかも選べます。

くわしい手順はAnkiデッキの作り方にまとめています。文字コードをUTF-8にしないと日本語が文字化けすることがあるので、そこだけ注意してください。

無料のChatGPTでも暗記カードは作れる?

作れます。文章を貼ってカードの下書きを頼むだけなら、無料の範囲でも十分に使えます。

ただし、無料で使える条件や機能は変わることがあります。PDFや画像の読み取りが使えるかどうかも含めて、最新は公式の案内で確認してください。まず一部を試してみて、問題なさそうなら範囲を広げる、という進め方が安全です。

まとめ

ChatGPTで暗記カードを作るときは、次のポイントを押さえれば十分です。

  • ChatGPTは下書きまで:Ankiへの取り込みは自分でやる(全自動ではない)
  • 自分の教材を渡す:渡さないと、一般論のカードになりやすい
  • 何でもカードにしない:計算問題など、単語帳に向かない中身は作らせない
  • 1枚に詰め込まない:1カード=1知識に分けると、あとの復習がよく効く
  • 中身は自分で確認する:AIの下書きは速いが、そのままは危険
  • ChatGPTの本領は「質問」:作るより「分からないを潰す」ほうが得意

いちばん大事なのは、「作れた」で終わらせないことです。下書きが速くできたぶんの時間を、復習に回してこそ身につきます。

なお、ChatGPTだけで全部をまかなおうとしなくて大丈夫です。ChatGPTで下書きを作り、Ankiや過去問、いま使っている参考書と組み合わせて、合うところだけ取り入れれば十分です。

カードをAIに作らせるやり方を含めて、AIをどう使うと記憶に残るのかという全体像はAIで暗記する方法にまとめています。まずは今日の教材を1ページ、ChatGPTに渡してカードの下書きにするところから始めてみてください。